10代、20代、そして、パティシエになりたい全ての人に送る魂のメッセージ!!
洋菓子店2代目社長が語る、パティシエになるためには。。。その疑問に自分の立場と、また違った方向からの視点も踏まえてこれからパティシエになりたい人の少しでも役に立つように現場で培ってきた経験を惜しみなくお伝えできればと思いますので心して読んでください。
先に結論をお伝えしますと
『専門学校や料理学校を卒業しなくてもパティシエにはなることができます』
今はもう2025年2月下旬です。進路や就職が決まり新しい生活を待っている方もおられるでしょう。僕は仕事で中学生や高校生、時には小学生に『夢』とは?『仕事』とは?などを偉そうにも語る時があります。その中でとても感じることは、
『パティシエになるためには資格が必要であったり、学校を出ておかないといけない』
と思っている学生さんが多いということです。
その誤解を今回は解き明かしていきましょう!!!
お話する順番は次の通りです。特に給与や福利厚生、職場の環境なども含めできるだけわかりやすくお伝えしたいと思います。
目次
1、僕の業界に入るまでの道のり
2、入社時に資格や技術が必要なのか?
なぜ必要ないと言い切れるのか?
3、専門学校か就職か?
4、給与や年間休日について
5、新入社員から3年目まで
6、パティシエになるために一番必要なこと
そろそろこの業界に携わって四半世紀になる僕から
『パティシエになりたい』
という志を持つ方に僕の全てを、20年を、惜しみなくお伝えしていきます。
1、僕の業界に入るまでの道のり
僕はこの業界に入るまでは20歳後半までアルバイトで生計を立てていました。そろそろ就職をしないといけないとおもい、何か作る仕事につきたいとおもい考えに考えた結果、この業界を選びました。
未経験でも採用しますと書かれた求人誌を見て、すぐに連絡しました。自分自身初めての就職だったので、今までの人生の全てを面接時に話しました。そしたら、見事採用いただき、ここから僕の業界での生活が始まることになりました。
はじめにカルチャーショックを受けたのが、労働時間です、その当時、朝7時からでしたが仕事は終わるまで、という、恐ろしいほどのブラックな環境、そして業界でした。
おそらく、普通の人なら1日で根を上げてしまうくらい大変な仕事です。僕は、フリーターが長く就職するときは、一番初めに就職したところを絶対に辞めない、と、決めて入社したので耐えることができたのかも知れないと今では振り返ります。
それも、今では絶対にできないことですが、20年前だと当然の如くおこなわれてきたことだとおもいます。中途採用で、洋菓子の業界では暇であるといわれる6月に入社したのですが、それでも環境がガラリと変わり体調を崩しがちになりました。また、家からも車で1時間くらいかかるので、会社の近くに引っ越したりしながらやっていました。毎日7時から24時まで働くので疲れも溜まり、何度も車で居眠り運転で死にかけました😭
まあそれはさておき、とにかく超労働時間の立ちっぱなし、職人の世界でクセの強い先輩ばかりで乗り切るのに大変だったのを覚えています。
2025年になりいろんなことが変わりつつありますが、これから製菓業界に就職を考えている方は上記のことは踏まえておいた方がいいかも知れません。労働時間については法律で厳しく取り締まられるようになってきましたが、飲食、サービス業というのは、不規則で、そんなに儲からなくて、人が休んでいる時に働いて、くらいは落とし込んでおきましょう。
しかし、こんな業界に夢や希望はあるのか?と思いますよね。
あります、それは結局自分で見つけていくしかないのですが、間違いなく、夢や希望は存在します。ですので僕も20年この業界で生き、そして、社長までなれたわけです。
2、入社時に資格や技術が必要なのか?
結論からお伝えすると、僕は必ずしも必要ではないと思います。もう少しみんなを勇気づけることをいうと、
資格も技術も必要ありません。
なぜか?
僕が何も持たずに業界に入り、現場で学んできたからです。
初めのうちは専門用語や道具の名前などもフランス語でついていけませんでした。でも、そんな期間は一瞬です。自分で勉強すれば良いのです。でも、今でも覚えているのはスポンジケーキのことを、ジェノワーズというのですが、みんながジェノワと呼んでいて、ジェノワーズってなんだろうと思っていたことは今でも覚えています。しかしそんなことはとても小さなことで自分で勉強していけばすぐについていけるようになります。
僕は専門学校や学校に行っていないので、どのようなところかはわかりませんが、いろんな人を面接して採用してきましたが、現場で充分に習得していけると感じました。
しかし、よく質問されることがあります。
『どうすればパティシエになれますか?』
と、、、、。
パティシエになるには例えば弁護士やお医者さんになるために絶対に必要な国家資格はありません。しかし、厚生労働省が認めた国家資格で『製菓衛生師』という資格があります。これはどういうものかというと、
厚生労働省が認める国家資格で、お菓子の製造や開発などを行うプロフェッショナルです。和菓子や洋菓子など、さまざまなジャンルの製菓技術や衛生知識を有していることを証明する資格です。
【製菓衛生師の資格の特徴】
- 免許更新の必要がなく、一度取得すれば一生使えます
- 名称独占資格のため、資格を持っていない人が製菓衛生師を名乗って仕事をすることは法律で禁止されています
- パティシエとして基本的なスキルがあることを証明できる資格として知られています
【製菓衛生師の受験資格】
- 都道府県知事が指定する養成施設で1年以上学ぶ
- 義務教育を修了し、製菓・製パンの現場で2年以上の実務経験を積む
【製菓衛生師の試験】
- 試験科目は、衛生法規、公衆衛生学、食品学、食品衛生学、栄養学、製菓理論、製菓実技の7科目です
- 出題は一部都道府県を除き60問、マークシート方式(4つの中から1つを選ぶ方式)で実施されます
というような内容になります。ちなみに僕は持っていません。
ですので、製菓衛生師は絶対に必要なものではありません。
しかし、衛生についてや食品について学べるので勉強することはやっておいた方がいいと思います。少し飛躍してしまいますが、パティシエになりその後修行を積み、自分の店を出そう!!という時は、以下の免許や資格が必要です。
1、食品衛生責任者
2、菓子製造許可申請 (所轄の保健所)
3、個人事業の開廃業届(所轄の税務署)
これに加えて、ケーキを作って販売する以外に、カフェも横に作りたいとなれば飲食店営業許可が必要になります、これも保健所に申請する必要があります。
ここまでで、資格や免許の話をしてきましたが、自分の好きなケーキ屋さんで雇われて働く場合は必ずしも資格や免許が必要ではないということはわかっていただけましたでしょうか?
さて次に技術についてです。
3、専門学校か就職か?
僕もこの業界に入り20年ももうすぐそこですが、技術や知識は修行しながら自分の探究心で身につけていけるということです。
例えば専門学校を出た新入社員と、専門学校を出ていない新入社員とを比較した場合、やはり知識の差や技術や段取りの差などやはりあると思います。しかし、今まで僕が修行から社長になるまでいろんな同期、先輩、部下など見てきましたがそこまで突出した人がいたことはありませんでした。専門学校でも基本的な知識や技術を教えているとは思いますが、やはり現場での仕事というのは当たり前ですが失敗も許されないし、仕込む量も何倍、何十倍となることが多いです。誤解があってはいけないのでお伝えしておきますが、専門学校に入ることがダメだと言ってるわけではありませんのでくれぐれもご注意ください。
学校の良さ、現場の良さ、それぞれあると思いますが、僕個人の意見としてはいち早く現場で学んだ方が体に入りやすいと思うというだけです。
ひとつ例を出してみるとこれも極端で偏った見方かもしれませんが、僕の個人的な見解です。
さらに、どちらが良い悪いというわけでもないことはご了承ください。
専門学校とは技術や知識を勉強しプロとなる準備をしにいく場所だと思います。
しかし現場では働き始めたら給料が発生し、自分のサービスがお客様に提供され、お金をもらうわけです。ここには責任が降りかかるわけです。この責任が、自分の技術、知識の習得のスピードを上げてくれるわけです。
アマチュアとプロの差はお金を稼いでいるかいないかですよね、一般的にはプロには責任、完成度、サービス、全てを求められるのです。それが自分へのプレッシャーになり、技術や知識を求める自分の姿勢を底上げしていくのだと僕は強く思います。
ですので、学校か就職か?と、問われたら間違いなく就職を選びます。
4、給与や年間休日について
では、職人の世界に入っていったいどれくらいの給料でどれくらいの休みがあるのか?というのは気になるところですよね。
この章ではその辺りをぶっちゃけお話ししていきます。
そしてこのお話に当時や現在でも何の不満があるわけでもありません。僕の現実はこうだったよ、というだけの話です。
実際、超が3つも4つもつくほど超ブラック企業でしたが、そのブラックが今の僕を支えていると思っていますので。
まずは給与から。
新入社員の頃は額面で18万ちょい、手取りで12万円後半でした。そこから4年間はそのままで4年目に先輩が全員辞めていたのでチーフになりました。しかし、チーフの手当てが3万円程度でそこから10年くらいは額面22万円くらいで手取りで18万円くらいでした。
結局は社長になるまでは手取り18万程度で働いていました。もちろんボーナスなどなくサービス残業は当たり前で、就業時間は朝7時から午前2時。ほんま、どんな会社やねん!!!と思いますが、割と飲食や製造業はあるあるだと思います。
年間休日は85日、平均ひと月7日くらいの計算ですが、夏場に多めに取って12月は3日の休みとかでした。
本当に友達や家族からは過労死するんじゃないか?と心配されていました。
こんな環境なので体調崩してやめていく人を何人も見てきました。しかし、僕はよくこの環境を乗り越えたなと思うのです。この環境があったから今、自分は限界を超えても働ける胆力がついたのだと思うのです。
体を壊してまで仕事をする必要はありませんが、やはり人生やらないといけない時はやらないといけないのです。それが、自分が起業した店なら尚更だと思います。
職人の世界は、胆力も体力も気合いも知能もいろんな素養が必要ですが、一番必要なのは強い思いです。その思いが辛い現実を打破する武器になるのです。
これだけはお伝えしておきます。
決して楽な世界ではありません。そんなに儲かるような世界でもありません。覚悟がなければ入らない方が良い世界です。しかし、思いと覚悟がある人は資格や免許がなくても成功できる世界です、実力の世界です。
思いと覚悟がある人はどうぞきてください。お待ちしています。
5、新入社員から3年目まで
ここまできて、初めの3年間くらいのお話だけしておきます。
晴れてパティシエのスタートラインに立てました。とうとう、パティシエとしての第一歩が踏み出されたわけです。では当時の労働時間や給与などからその時代と照らし合わせながらお話しします。当時、2006年、日本の平均年収は497万7700円と言われていました。僕の給与は初任給18万円程度で手取りでは12万円後半、つまり年収は216万円、労働時間は世間では9時間ほどの労働時間ですが、この業界、特に飲食は厳しいと思いますが平均1日16時間から18時間は働いていました。ちなみに、この現実を皆さんにお伝えしているだけで、これが正解、間違いなどというつもりはありません。逆に、この環境が今の自分を支えていると思っています。
この生活が10年ほど続くのですが、この10年があるからこそ、限界を超えた自分がいるから何が起きても割と乗り越えていけると今は強く思います。また後ほども伝えますが、自分のやりたいことがある人や、目指す場所がある人はお金や時間ではなく、はじめはとにかく計算をせずにがむしゃらにやることです、それがのちに大きな自分を作ります。
今の時代ドジャーズの大谷選手やボクシングの井上尚弥選手がいます。彼らはただ自分の成長を追い求めひたすらにそれを追いかけているのです。
サッカーの本田圭佑さんが
『はじめは質より量』
『量をしていない人間に質を語る資格はない』
とおっしゃっているのを聞いて、その通りだと思いました。
無駄な努力も含む、時間をかけて量をこなす、その先に質が見えてくるロジック。超賛成!!
こうして1年目が始まりました、何もわからずに接客、製造をこなしていきました、接客は得意でしたが製造は初めてでケーキを壊して怒られたり、ジェノワーズをとってきてと言われて何のことかわからなかったり、とにかくわからないことばかりで苦労しました。初めの3ヶ月はあまり記憶がなく、そこから初めてのクリスマスを迎えるわけですが、12月初旬に体調を壊し、1日欠勤をしてしまいました。本当に体力的に体がこの業界に慣れていないのでかなりしんどかったことは覚えています。
さらに、上司も大変な上司の方がいたのでそれも影響して労働時間がさらに長くなるようなことが毎日続いておりました。この業界、やはり職人の世界なので、クセの強い人が多いということだけは認識しておいた方が良いと思います。
今は温暖化も影響して閑散期が年々伸びていますが、20年ほど前は9月頃から繁忙期に入り翌年5月くらいまでが繁忙期と呼ばれていました。栗の季節から始まり、ハロウィン、クリスマス、成人式、バレンタイン、ホワイトデー、卒業、入学、桜の季節、ひな祭り、こどもの日、母の日、と続いていきます。
その中に、いちごのフェアーやお客様感謝祭なども入ってきて20年前は本当に年中イベントをしてるというような状況でした。
それが何年も続いていくという状態です。
その中で今度は人についてお話ししていきましょう。
社会に出れば人間関係が一番の悩みの種となることが多いでしょう。僕も偉そうな年下の先輩がいたり、何もできない新人を自分の仕事が終わるまで職場に居るように仕向けてくる上司がいたり、大変な時代がありました。入社当時は10人くらいいた先輩も3年後には全員いなくなり、僕がトップになりリーダーになっていました、未経験で入社したのに、何もできないのに。笑笑
当時先輩の関係性を見ていてもいざこざばかりでした。やはり、職人の世界なので癖のある人間が集まってくるのでみんなで仲良く、協力して、などなかなかできません。本当は仕事ってチーム戦で協力した方が早く片付くことが多いのに、プライドが邪魔してそれができないように当時見えていました。
現在は逆に上から見る立場になり、まだ同じようなことが起こるのです。人の上に立つ人間が勘違いをしてしまうのです。地位が上がれば自分は偉くなったと勘違いするわけです。でも威張り散らしている人に誰もついてきません。
大なり小なり組織というものには問題があります、その問題に左右されない折れない心を持つことがこの業界、もっというと社会で生きていくためには必要な要素になってくるでしょう。
我々の仕事はダイレクトにお客様にありがとうと言ってもらえるので、それが1番のやりがいになると思っているし、信じています。
6、パティシエになるために一番必要なこと
最後の章まで来ました。
パティシエになるために一番必要なことは、、、、、、
『自分が幸せであること』
だと思います。
今まで一度も触れていなかったのに、突然幸せであること?
なぜか?それはパティシエは人を幸せにするお仕事です。その人が自分が幸せでなければ人に幸せにはなってもらえないのです。もし自分がパティシエになりやすい給料で休みもなく働かされていると思っていたら、毎日愚痴ばかりこぼしていたら。
自分ならそんな人が作ったケーキを食べたいですが。大切な日に、大切な人のために。
いつも自分が今いる環境を受け入れて、幸せを感じる心を持ち続ける事、
僕はそれが一番、良いパティシエになるために必要なのではないかと考えているわけです。
みなさん、待っていますよWWWW
by 洋菓子店2代目社長